中津 昌子


どうやったら金持ちになれるのだろう朝焼けが空を知らない色にしている

花山周子『屋上の人屋上の鳥』(2007年)

 

 

朝焼けに向かってもつ感慨としては、かなり個性がある(変わっている)。
まして、「朝焼けが空を知らない色に」するという繊細な表現につながってゆくものとして、あまりに現世的、即物的である。

 

誰もが考え(あるいは遠くあきらめ)ながら、こんな風にはダイレクトに口に出さない思いを、いきなり初句から放ってみせる大胆さ、この直截に驚いたあと、「朝焼け」以降の無垢な、あまりにも色のついていない感じにもう一度驚く。

上二句は、六音・一二音という字余り。これを思いのつよさで一気に読ませたあと、以降を定型通りでもって一首を収めてしまう。

 

自分の心にあるものを率直に引き出し、景と自然に重ねているようで、この重ね方は今までになかったものだと思う。

 

歌に対して余計な構えがないのだろう。
傑物である。