高橋睦郞『歌枕合』(書肆山田:2005年)
地名に導かれるように成った一書をひもとき、故郷を探してみると「みちのく」はラップランドと対にされていて、今さらのように寒さの土地に生まれたのだなと思い知らされる。
みちのくのなほおくありて、の流のなめらかさに導かれつつ視界は雪と氷の透き通る白に埋め尽くされる。わずかに青い翳のさした雪と氷の世界に、対句のように差し向かうのは内面の炎、いのちだった。
ヒトのいのちばかりとは限らない。雪と氷の鎖ざすさなかに、生き物はあるいは生き継ぎ、あるいは子孫をつないでいる。寒さの土地に生まれたればこそ、内なる火のあかるさ、あたたかさを知るということもあるのだろう。
