吉田 隼人


羽うすき翼竜よきみは怯ゆるな老いし暴君ティラノに吠えらるるとも

坂井修一(「短歌研究」2015年5月号)

 翼竜はうすい皮膜を広げて滑空する。その翼竜に若さが重ねられている。若き翼竜は老いたティラノサウルスに吠えられて、おびえそうになっている。ティラノサウルスのティラノは英語のタイラントと同じ語源で「暴君」を意味する。

しかしこの暴君はもはや老いた暴君である。若くして空を翔る翼竜にとっては、もはや恐るるに足らぬ存在なのかも知れないではないか。だからおびえるな。ティラノサウルスに吠えられようと、おびえることなく空を飛んでゆけ。