中井英夫(「短歌研究」2015年7月号)
青い灯がともって、じっと黙っている。そこを目がけてわたしは訪ねてきた。黙っている青い灯はここにある。ここに黙っているからこそわたしはやってきた。青き灯であるはずなのに、冷たさというよりはあたたかみを感じる。それはわたしがあたたかい気持ちで灯のもとを訪ねてきたからだろうか。
そこからは風が遠く遠く聞こえる。青き灯のそばにわたしもまた黙って、遠い遠い風を聞いている。とほどほと、に丘の上から見下ろした感じが良く出ている。最後に一字空けて「丘」が来ることでようやく「ここ」がどこか知らされる構造である。