吉田 隼人


モロヘイヤいくつあってもモロヘイヤこの夏幸せなモロヘイヤ

吉田奈津(「短歌研究」2015年9月号)

 読んでいて嬉しくなってしまうような一首である。モロヘイヤが流行ったのは自分がまだ幼い頃だったから、今となってはどうなっているのかわからない。その選択の絶妙さで既に勝っているところがある。

いっぽんでもニンジン、のような洒落にもなっていない「いくつあってもモロヘイヤ」の無意味さも素晴らしい。あるいは「いくつあっても困らない」のような言い回しなのだろうか。しかしモロヘイヤはいくつもあるとはいえやはりモロヘイヤだ。このトートロジーに「この夏幸せなモロヘイヤ」と半ばやけくそ気味の終わり方をするのが笑いを誘う。