吉田 隼人


テレビ、つけると いまは怖くて いま庭に鴉が降りた黒光りする

朽木祐『鴉と戦争』(書肆侃侃房:2019年)

戦争を題材にした連作、歌集なのでテレビでやっているのも戦争の番組なのだろうが、コロナ禍になってしまうとテレビでやっているのも新型コロナウイルスの話題のように読めてしまう。実際テレビはその話題で持ちきりだったし、今も目につく。ニュースでなくとも、スタジオにアクリル板が置かれたり、距離をとっていたり、フェイスシールドやマウスシールドが目についたりすると、いまだに自分などは怖くなってしまってテレビをまともな神経で見ていられなくなる。

そこにきて庭にカラスが舞い降りる。むかし高校からの帰り道にショッピングモールの看板に大量のカラスが集まっているのを見て不吉な気分になったことがあるが、たとえ一羽でも自分の生活圏に入り込んでくるタイミングによってはカラスは恐ろしい鳥だ。結句の「黒光りする」が再びテレビを思わせてなおのこと恐ろしい。テレビ、つけると、いまも怖くて。