吉田 隼人


必要なものから順に壊れてく日々はこうして首に手を置き

澤部渡「花を枯らさないための暮らし」(『ユリイカ』青土社:2016年8月増刊号)

音楽ユニット「スカート」の澤部渡さんの連作からの一首。意味は読んで字のごとく、そのままだが、こういう生活のままならなさみたいなものに気持ちが惹かれる。

自分は同郷で大学も同じテレビ東京の佐久間宣行プロデューサーがやっているオールナイトニッポンをよく聴くのだけれど、テレビ局のプロデューサーという成功者であってもフリートークで語られるのがゴミ処理機が壊れたり財布をなくしたり、そういう生活のままならないあれこれであるのに、同じくままならない生活を送っている人間として共感してしまうし、なんだか救いのようなものを感じる。

必要なものが必要なときに限って壊れる。それが順序だっているように立て続けに起こる。そういうままならなさに直面したとき、自分はもうただ「死にたい……」とつぶやきながらどうにかやり過ごして生きてだけはいくのだけれど、ここでは首に手を当てて「困ったなあ」とやる。この「困ったなあ」が洒落ていて、そのあたりが好もしい。