吉田 隼人


ミュージックビデオに広い草原が出てきてそこに行きたくなった

五島諭『緑の祠』(書肆侃侃房:2013年)

ミュージックビデオの撮影というのは、テレビで裏話を見たりすると想像以上に大変そうで、とんでもない世界だなと思わされる。映像製作の世界は大変である。広い草原が出てくるとしたら、広い草原のイメージだけを抱くのは勝手だが、それを実際に撮らなくてはならないとなると、場所の選定やらロケハンやらで大変なことになる。ビデオのなかでは広い草原に見えていても実際はそうでもない場所をトリックで広く見せているのかも知れない。

けれどもミュージックビデオに出てくるということはどこかにはある草原なのだろう。ミュージックビデオだからいちいちロケ地を表示したりはしてくれないが、きっとどこかにその草原はある。そこに行きたくなった。ごく素直な感情の動きと吐露である。きっと行くことはできないだろう。あるいは行ったとしてもピンと来ないかも知れない。それでもミュージックビデオのなかの草原に行きたくなる素直な気持ちの動きだけを届けられるとこちらも草原を見たような朗らかな気持ちにさせられる。