江戸 雪


灯消し稚き妻が息づきぬ窓の外に満ちし冬の月光

島田修二『花火の星』(1963年)

式を挙げたばかりのふたり。
「息づきぬ」は、読んでいるこちらのほうがどきどきする。いやもちろん作中のふたりのほうが胸を高鳴らせているのだろうけれど。
言葉をかわさず、静かにお互いの存在を感じている。
「稚き妻」は〈いとけなきつま〉と読むか、〈おさなきつま〉と読むか。短歌の音数からいえば〈おさなきつま〉と読んだほうが7音におさまるのでいい。けれど、〈いとけなきつま〉のほうが妻のかわゆらしさが醸し出されて、言葉としてはしっくりいくとおもう。

この歌は冬でなければ成立しない。
冬の月の冷ややかな光。道や木々がぼんやりと照らされている。
いっぽう、部屋のなかは闇にみちていて、窓だけが明るく光っている。暗がりのなかで研ぎ澄まされた感覚が、妻へのいとおしさをさらなるものにするのだろう。

また、結句の「月光」という印象的な言葉によって場面が一気に鮮やかになり、うっとり。
はるかに燦然とかがやく月にすべてを包みこまれてしまいそうな幻想さえ抱かせてくれる。