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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
黒瀬 珂瀾
夜半の湯に肉塊のわれしづむとも地球はうかぶくらき宇宙に
肩を落し去りゆく選手を見守りぬわが精神の遠景として
列なりて入国審査待つ人らこの国の外にはみ出しながら
生きがたき世と思ふ夜半開きたる丘(きう)の言葉もやせがまんなる
こちらは雪になっているのを知らぬままひかりを放つ遠雷あなた
雪を落とすために震える黒い傘細部まで見よという声がする
人のをらぬ改札口を通り過ぎやうやく僕の無言劇果つ
歌棄(うたすつ)とう地名を知りぬ歌棄の地には如何なる月さしのぼる
校庭に脱ぎ捨てられたジャージ、靴、夢 一斉に朝になろうか
金あらば生くるに易き老後とぞ老後の後はそれでいいのか
腐食のことも慈雨に数へてあけぼのの寺院かほれる春の弱酸
風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける
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