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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
雲などが流らふるよと見て居るに全身をかけて子に頼らるる
初老なる父が紅葉す陽に焼けし木の実ひとつぶ懐に抱き
家々はリースをドアに飾りつつ兵士がやがて帰り来むドア
恋人と怪獣映画見て冬の街へここでは何も起きない
まなざしにはふれないやうにかきあげる火星の土の色の前髪
往還の道の辺にある丸き石 この石にだけは勝たむと思ふ
立つと……あなたの背中どこまでも伸びてゆくように他人ね。
見ないまま抱きあふとき骨格のふかさの中でわが咽喉ほそき
おそ秋の陽が氾濫する街をきて憎むこと多き愛をおもえり
相聞もインターネットでかわす恋仮想現実ゲームのなかで
「さびしい時うさぎは死ぬ」と母言ひき呪文めきたるさびしき言葉
おとうとはとほくてたふとい 其の背なにいつより触れずわれらねびゆき
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