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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2010年10月
「雨だねぇ こんでんえいねんしざいほう何年だったか思い出せそう?」
お笑いの画面を消しておもむろに笑わぬ前の顔に戻しぬ
おもらしの後は黙禱するやうに壁に向かいてうなだれる父
薄明のままに明けない日のやうに卵の殻のやはらかな白
尖塔の建てられてよりこの街の空は果てなき広さとなりぬ
見えぬものを遠くのぞみて歩むとき人の両腕しづかなるかな
曇天のくもり聳ゆる大空に柘榴を割るは何んの力ぞ
いつも君は犬に好かれき見知らざる犬さへ千切れんばかり尾振りき
「この国」と言ふときふつとさみしくて何かまとまらず春の宵
なまなかな情けかけられ情けなくなりたる身体(からだ)湯に沈めゐつ
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