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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2019年6月
本川克幸/陸岸のかたちを指でなぞるとき仄あたたかきレーダー画面
上田康彦/携帯と鍵を忘れて妻を待つ和金のような鰯雲見つつ
筑波杏明/われは一人の死の意味にながく苦しまむ六月十五日の警官として
藤原道長/この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば
大辻隆弘/東京を敵地とぞ思ひ来しことのあはあはとして中野梅雨寒
前川佐重郎/夏草の一茎にありてしづみゐし蟷螂(かまきり)の眼の碧きこゑのす
寺尾登志子/わたくしといふ現象を突き抜けて見えたつもりのあなたが見えぬ
前川佐重郎/夏草をちぎりて撒(ま)けば空くらし静脈のごとき茎そそりたつ
萩原慎一郎/ひるやすみカレーうどんを食べながら愛のない暮らしなどはうんざり
前川佐重郎/鉛筆の描ける空の鋭きに一羽の鵙(もず)の研ぎて降下す
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