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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
薄明のままに明けない日のやうに卵の殻のやはらかな白
尖塔の建てられてよりこの街の空は果てなき広さとなりぬ
見えぬものを遠くのぞみて歩むとき人の両腕しづかなるかな
曇天のくもり聳ゆる大空に柘榴を割るは何んの力ぞ
いつも君は犬に好かれき見知らざる犬さへ千切れんばかり尾振りき
「この国」と言ふときふつとさみしくて何かまとまらず春の宵
なまなかな情けかけられ情けなくなりたる身体(からだ)湯に沈めゐつ
祈りとうことを久しくせざるかなせめて机上の土鈴を振らむ
木のこゑと風のこゑとがまじりあふ秋の硝子を磨きてをれば
停車場(ていしゃば)に札(ふだ)を買ふとき白銀(しろがね)の貨(かね)のひゞきの涼しき夜なり
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