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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉野 裕之
白昼に覚めたる眼(まなこ)ひらきつつ舟の骨格を見わたすごとし
霧雨は世界にやさしい膜をはる 君のすがたは僕と似ている
蕪よつつひだまりとなりかがやけばぼんぼんと鳴る柱時計が
わたくしの名刺どこかでシュレッダーにかけられて居ん頭が痛い
団塊の世代の構成員として父はサボテンの棘を育てる
逢ったのはインターネットそこはただ風の生まれる原っぱだった
指先の重たさはみづに沈むやう ゆらめきて髪の中に紛れた
子を抱きて名取川渡りつつ転びさらに自分がわからなくなる
手を出せば水の出てくる水道に僕らは何を失うだろう
学舎より眩暈(めまひ)をもちて見下ろせる冷泉家の庭つつじの火の手
客去れば椅子を二脚にもどしゆくしろき陶片のごとき陽のなか
すでにして海の匂いをなつかしむ仕事へ向かう雨の朝(あした)は
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