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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
棚木 恒寿
軋みつつ人々はまた墓碑のごとこの夕暮れのオールを立てる
掌のとどくはるかな位置に黒曜の髪の澄みつつ少年のあり
君の髪に十指差しこみひきよせる時雨(しぐれ)の音の束の如きを
アスファルトから靴を引き抜くゆらゆらと炎天の首都ただひとり行く
ひばりありがとうほととぎすありがとう手をふりながら年老いてゆく
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとゞかざりけり
わら灰をつくりて心しづまるを帰りし家に感じつつ居る
扇風機うごきてさらにむしあつし電車に立ちてわが運ばるる
寝てきけば春夜(しゆんや)のむせび泣くごとしスレート屋根に月の光れる
むらさきの桐の花骸(はながら)を累々と敷きたるやうな夕雲にあふ
われ主流きみ反主流なかぞらの梢へだてて咲く紫木蓮
人間の生膽(いきぎも)を取る世となりて紅葉(もみぢ)の錦神のまにまに
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