コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
いちまいの皮膚にほかならない皮膚を引き裂くほどに愛してもみた
わが生まむ女童はまばたきひとつせず薔薇見れば薔薇のその花の上に
ひるがほは火傷のやうにひらき出づこの叢(くさむら)にあなたは笑ふ
立ち上がりわが手に縋る柔らかき母がてのひら息子を忘る
われよりも平熱低きことを知る眠れる首にそっと触れれば
ゆふがほのひかり一滴露けくて永遠(とは)にわれより若き恋人
インフルエンザの子供は熱し 林檎摺り極々小の星出づるべし
手をつなぐかと問ふわれに君はただ笑みて水筒の紐を直しぬ
誰のこともさして恋はずに作りたる恋歌に似て真夏のうがい
螢(ほうたる)よどうすればいい 病む汝を取り戻すべくわれは点らむ
君一人置きしベンチに近づきて横顔はかくも侵し難かり
十五年借りたるのちは返すべきさみどりの長身月映に置く
投稿のページ送り
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
7
固定ページ
8
固定ページ
9
…
固定ページ
13
次のページ