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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
白色の絵具ばかりを買ひ足してゐた頃のこと雲を見ながら
勝ちたるは寂しきことと語りたる棋士は晩年ますます強し
エボラ熱隕石のごと降り来たり村人は死に菌も死にたり
みづいろの楽譜に音符記されずただみづいろのまま五月過ぐ
わたくしのまはりを飛ぶな 鱗粉に指よごしつつ蝶を煮てゐる
雲雀料理の後にはどうぞ空の青映しだしたる水を一杯
宇宙飛行士山崎直子さん美容院にてその黒髪を提供したり
パンダ館の横にわが家の冒険王父を睨んでわつと泣き出す
白抜きの文字のごとあれしんしんと新緑をゆく我のこれから
がらんどうの倉庫のやうに立ちつくす ペットボトルの水がもうない
ジャンヌ・モローのややよぢれたる唇のやうな小説読みをり深夜
健やかなドナーになるため散歩する朝にみつける黄(きい)のたんぽぽ
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