コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年11月
耄(おいほ)けてぬくもりがたき床ぬちに入るるを思へはだか童女(わらはめ)
家々はリースをドアに飾りつつ兵士がやがて帰り来むドア
冬池に眠る白鳥の華やぎに似し白菜を厨に殺(あや)む
恋人と怪獣映画見て冬の街へここでは何も起きない
はつ霜のとけて光れる畑土のへだたれば永久にやさしき父よ
まなざしにはふれないやうにかきあげる火星の土の色の前髪
ふたつつめたく掌ありて白樺の幹に冬陽を確かめている
往還の道の辺にある丸き石 この石にだけは勝たむと思ふ
垂直の街に来る朝われらみな誰かうまれむまへの日を生く
立つと……あなたの背中どこまでも伸びてゆくように他人ね。
投稿ナビゲーション
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ