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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
ビル街のよぞらに雨後の月あかしむかし御油[ごゆ]より出でし夏の月
せめて冀求[こひねが]ふ――――。見事に霽れた朝[あさ]、バッハを聴きながら死ぬことを
問診の〈正しさ〉ゆゑに妊娠と出産回数さらりと問ひ来[く]
錦玉糖ふたつ買いおく雨間[あまあい]の誰も来ないかもしれぬ土曜日
昼の視力まぶしむしばし 紫陽花の球に白き嬰児ゐる
やはらかい雨の近づく昼下りクリームパンを柩に入れる
いつだつて足りない時間/さはされど/あればあつたで眠つてしまふ
真向かいのビルいちめんの鏡壁でニュースの字面は逆さに流る
あかねさす日清戦争、/砲弾が指に貼りつく/ゆめよりさめて
ゆらゆらと雲のあいまに浮かぶ月わたしはなにを失[な]くしましたか
人生の起伏を歩みきて思ふ電話短きは情[こころ]厚き人
ひた泣きて訴へたりし幼の日よりわが身に添へる不安といふもの
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