コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
棚木 恒寿
舗石に蠟石で字を描く子等は頭(ず)を垂れたままとっぷりと昏る
かぎり無き蜻蛉が出でて漂へば病ひあるがに心こだはる
日の沈めばうす暗き世の隅にゐていぢらしうわれ涙ぐむなり
鼻梁ひと筋(すぢ)追ひ詰むるごと顔面を剃り終へにけり寒の水にて
鬼神もあはれと思はむ桜花愛づとは人の目には見えねど
うつし身はあらわとなりてまかがやく夕焼空にあがる遮断機
わが体が、のうっと高く/伸びるごとくおもはれて、/ふいと佇みし。
見ることなきはらわたなどを思うとき恥多き身が立ちあがりたり
救急車が通り過ぎたら右肩がカパッと開いてカプッと閉じた
病むわれをなぐさめがほに開きたる牡丹の花を見れば悲しも
さ夜ふけていくさの塲(にわ)にきて見ればほむらたちのぼる屍(しかばね)の上
紫の理想の雲はちぎれぎれ仰ぐわが空それはた消えぬ
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
固定ページ
4
…
固定ページ
11
次のページ