コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
日昏れ来る 黒き帽子をかむりたる紳士の群れの降り立つやうに
子らははや遊びを止めて色赤きビニールプール西日に乾く
くしゃくしゃな引越しの荷の中に見し妻が旧姓のあるペンケース
みんみんといふ蟬のこゑ身にしみて聞きゐし午睡(ごすゐ)以前の世界
家近くなりて次第に不機嫌となりゆく吾の心あやしも
ふり仰ぐ一生(ひとよ)半ばの夏空をよろこびとせむ 私(わたくし)祭
母と子が互ひを責めてゐるやうな袋の小茄子触れては鳴りぬ
ここはまだ平和ですのと咲いているひまわり風にゆれるひまわり
うらを焙りおもてを焙りまたうらを焙ればゆめの色なるするめ
さらさらと真水のような飲み物を飲み終えて今日も齢を取らない
旨(うま)き物食(たう)ぶる顔のやさしきを恋ふるこころに旨き物もがも
一枚の襖にすがるがに立てり母を支ふるいちまいふすま
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
5
固定ページ
6
固定ページ
7
…
固定ページ
13
次のページ