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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
張りのある声の戻らば走りゆく橇を曳きゐる鹿呼びとめむ
鹿の肉切り裂くに顯(た)つ伏す鹿の伏せし睫毛の伏せし深翳
かたつむりとつぶやくときのやさしさは腋下にかすか汗滲(し)むごとし
雪の夜はをみななるわれ温石(をんじやく)の言葉となりて夫を寝(い)ねしむ
燐寸使ふことの少なくなりしより闇照らすなし濃密の闇を
誕生日祝ういわおうエスキャルゴオの殻から黒い身をぬきだして
ジャガイモの芽を丁寧にとりながらまだ沈黙に慣れない背中
木陰にてさくりと鍬をふるう祖父影をもたぬは哀しきことよ
〈中ピ連〉をネット検索せしときに「中年ピアノ愛好者連盟」が出る
薬臭のなかにかすかに乳の香す母をベッドへ抱きおろせば
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