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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
井戸のあり腕を伸ばせば水底に冷やしおきたる我のふるさと
散りそうに襟は揺れたり風ばかり渡りゆく橋ひとり越ゆれば
山鳩はすがたの見えてわがまへに啼くなれど声はとほく聞こゆる
伜なる俺をときをり忘れをり忘れられしは涼しもたらちね
「雨だねぇ こんでんえいねんしざいほう何年だったか思い出せそう?」
お笑いの画面を消しておもむろに笑わぬ前の顔に戻しぬ
おもらしの後は黙禱するやうに壁に向かいてうなだれる父
薄明のままに明けない日のやうに卵の殻のやはらかな白
尖塔の建てられてよりこの街の空は果てなき広さとなりぬ
見えぬものを遠くのぞみて歩むとき人の両腕しづかなるかな
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