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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2009年10月
抱きあへる感触のみをのこしつつ夢のなぎさのレアリテあはれ
忘れるといふ美徳もあるをまつかなる木々らだまつてしぐれてゐたり
告げざりし心愛(お)しめば一枚の画布(トワール)白きままにて残す
刃を当てて剥きしなま栗円空のほとけの顔に似つつひそまる
海を見るような眼をわれに向け語れる言葉なべて詩となる
目のまへのちひさな駅がなくなると知つてみている白いコスモス
黒闇(こくあん)の垂れそめにけるおもざしを嘆かひにけり父なるものは
漏斗(じょうご)のやうな月のひかりの底(そこひ)なる息子の部屋に息子はをらず
秋空は高かりき青かりき広かりき昔昔のさらなる昔
たけだけしき酢葉に種子の実りたりアメリカ種らしきがただにうとましく
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