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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
染野 太朗
相槌を律義に打ちて馴(な)寄りくる生徒ありわれは何も与えず
おびただしき水仙の白咲かしめてケアホームの庭 愛は片寄る
妻の傘にわが傘ふれて干されゐる春の夜をひとりひとりのねむり
金箔のきらめきこぼし角を曲がる霊柩車なし冬至のまちに
宇宙から見れば今死ぬ吾の手が今死ぬ母の手を握りをり
母死なすことを決めたるわがあたま気づけば母が撫でてゐるなり
春の船、それからひかり溜め込んでゆっくり出航する夏の船
担架にて運ばれおらぶ父の声妹は録りいまだに聞かず
ドアの窓の真ん中にレモンドレッシングの広告はあり手のひらほどの
さうめん流しひゃーとさうめん流れゆきわれとわが母取り残されぬ
ことば持つゆゑのさびしさ人を恋ふにもあらざれど猫にもの言ふ
海だったはずのシャワーを浴びている さっきまでふたりがいた海の
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