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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
少し長めに生きたることも葡萄パンにまじる葡萄のごとき確率
皿汚しながらひとりの昼餉終へ誰にともなく手を合はせたり
につぽんの壺に嵌りし蛸といふ蛸はかなしゑモーリタニアの蛸
いしひろうなんてひさかたぶりのこといしがこんなにつめたいなんて
そのかみの染野のあをき夕焼けがはるかに投げてよこす男の孫
たそがれの舟に原子の火をのせてあなしづかなるあそび女がゐる
つゝましく 面わやつれてゐたまへば、さびしき日々の 思ほゆるかも
てのひらをくぼめて待てば青空の見えぬ傷より花こぼれくる
四十五度あげてゑがきし眉尻のをみなら朝をどつと乗りくる
青駒のゆげ立つる冬さいはひのきはみとはつね夭逝ならむ
サリンジャー死にし話題は牡蠣の殻開けて啜らむとする間に終る
あぢさゐもばらも知らない受刑者は妻と三歳のむすめを詠ふ
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