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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
石の苔まろまろとありけふひとひいのち交換したきこの苔
ひそひそと六十五年のかたまりの生きて動いて葱きざみ居る
ここからは聞こえない音たてながら重機は動く雨の地上を
ブランコを思ひきり漕いだことはなく人生すなはち背中がこはい
たはむれにきくとしもなく振る土鈴こころひとつになりゆくばかり
宇宙塵うっすらふりつもるけはいレポート用紙の緑の罫に
不気味なり何仕出(なにしで)かすか分からない無遅刻無欠勤つづける彼の
いひたいことに突き当つて未だ知らない言葉子はせつなげに母の目を見る
アーガイル模様の母音ひびきだす北へと向かうバスに乗るとき
山ゆれて穂すすきゆれてまたしても風は言葉の先走るかな
照る月の位置かはりけむ鳥籠の屋根に映りし影なくなりぬ
フルーツゼリーすくひつつ見ゆ大山勤ダンススクールに動きゐる影
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