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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
染野 太朗
鯉がいて、立ち止まったらそれらしい速さで鯉は流れて行った
ガードレールに白く汚れた手のひらを黙っておくということ罪は
体調のすぐれぬ妻に付きまとい世話をしたがる息子を叱る
わたしより年上の馬世におらず今年も坂道(ここ)に木漏れ日がある
たまり水が天へかえりてかわきたるでこぼこの野のようにさみしい
怒るより先に悲しくなる人はうつむいて咲く花 みずいろの
体から恋の抜けゆく感じせり雪降り初(そ)めし窓をひらけば
とても長い時間をかけてお互ひの心情を知つたからには別る
思うひとなければ雪はこんなにも空のとおくを見せて降るんだ
白鳥と太陽が呼吸をとめる一瞬のまぶたのようにあなたであった
さからはぬもののみ佳しと聞きゐたり季節は樹々を塗り籠めに来し
猫をわが全存在でつつみ抱くともだちになつてくれたら魚をあげる / その②
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