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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
読みかけの文庫本『斎藤茂吉歌集』にて百足を叩く 仕方なかりき
直方体にとどめられたる牛乳のこの世のかたち提げて歩みぬ
生まれ変はつてもサラリーマンであるやうな冬空の下にバスを待ちをり
夜の時間を味方につけて書いてゆくエッセイのなか祖母が来ている
石畑と名乗りはじめた先人の両手のひらの血豆をおもう
試されることの多くて冬の街 月よりうすいチョコレート嚙む
わたくしはいつでも動詞 走ったり叩いたりして君に溶けゆく
見ていたら夜が終わるのではなくて朝が始まるのだとわかった
不祝儀の袋を買いに出でくれば月とはあの世へつづく抜け穴
わが生を生たらしむるひと無くて雪ふる昏き玻璃をへだてて
亡き人のSuicaで買ひしコンビニのおでんの卵を分けあひて食ふ
沈黙の石焼き芋をゆっくりと割れば世界にあふれる光
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