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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
生きんため夫入院し残さるる時間のために父退院退す
どのひとも掌(て)のちさき板見つめをり板のむかうの海や砂漠を
誤植あり。中野駅徒歩十二年。それでいいかもしれないけれど
わたしがいないあいだに落ちしはなびらを丸テーブルの上より拾う
カーテンを玻璃戸のうちに巡らせて古書店ノアは灯りそめたり
父居らぬ家に目覚めてもう誰も早起きをせず足音も聞こえず
ここに立つここより他に無き場所の空に枝を張り鳥遊ばせて
いくたびも暗証番号拒否されて機械の横に寄りかかりたり
若竹にまたもや先を越されたり私が私を脱ぎたきときを
胸より胸に抱かれ花にも風にもなる火にもなるもの嬰児(みどりご)と呼ぶ
大写しされし鯨は赤道をひとつとびして飛沫(しぶき)をあげる
生くるため不可欠なものにありし頃一丁の斧美しかりけむ
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