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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
カルテ棚逝きたる人と生ける者薄きボードに仕切られてをり
元気よくおりこうさんの返事するニュースの子ども 子どもは窮屈
小鳥図鑑なにゆゑ買ひしわれかともひと月経ちて思ひあたらず
あと何を買ったら僕の人生は面白くなり始めるのかな
たて笛に遠すぎる穴があつたでせう さういふ感じに何かがとほい
「新聞はとるのやめたの」親指と人差し指で画面広ぐる人
母の手が子どもをなでて眠らせるやうに雪ふり雪ふりやまぬ
消印は二十世紀の冬の日で互いに今は届かぬ住所
本棚のむこうでアンネ・フランクが焦がれたような今日の青空
黒豆を浸けたる水がむらさきになりゆく時間を一挙に零す
商人(あきんど)のような声出し携帯の向こうの部下に夫は指示する
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