コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
紙の上に文字生るるとき放ちたる感情ゆがみてわれを置き去る
こころにもほとりがあつてたちまよふ思ひのやうに鶴がはばたく
花束を分けて花束を持ち帰る夜道に掲げながら歩いた
途切れがちな会話を続けるために飲む真冬の銀河高原ビール
春までは送るものがもうないと言ふ父の大根やはらかく煮る
雑文を三枚書いていつぽんのマイルドセブンを吸ふはうましも
水を飲むことが憩いになっていて仕事は旅のひとつと思う
ひとの声よりもかそけき音のして給湯室に湯の沸くけはい
アラームの鳴る一分前に目覚めればその六十秒を抱きて眠る
ぬばたまの夜更けにひらく「花とゆめ」誤植をひとつヒロインが吐く
細長く夜の空気を吸い込んで雪降る前のにおいをさがす
並べ置くヱビスビールの空き缶の中に厨の闇の溜まれり
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
12
固定ページ
13