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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
今井 恵子
風筋にのりてわづかの雪が飛ぶいづへに降りてあまれる雪か
欅木の黄葉のなかを一葉一葉丹念こめて散りゆく落葉
親指の爪ほどもなき消ゴムに推敲の一首またも消したり
映さざるものは見なくてよきものか辺野古の海をテレビは映さず
雪の上に影ひきて立つ裸木に耳を当つれば祖父おほちちのこゑ
不安げなる顔して病室に入りくるむすめよここだ父はここにゐる
吾子わこ遠く置き来こし旅の母の日に母なき子らの歌ひくれし歌
我ならぬ生命いのちの音をわが体内みぬちにききつつこころさびしむものを
薄翅に触れないように湯上りのおさなをタオルで包む 秋くる
くちびるは言葉をさぐるふりそそぐ秋の光の触さはれないもの
もやの中ひかりて落ちるいくすじの分れて再また会う光いくすじ
関節のやはき指もて髪の根を洗はれてをり今日は立冬
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