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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
コンビニの麵麭と水だけ口にしてとがらせてゆく秋の結末
一年にひとつずつしか大きくはなれぬ子どもと鴨を見ており
幼名で吾を呼ぶ誰かたましいはこんなところに紛れて花野
太陽がだんだん弱くなる日々のうつろになってゆく広葉樹
我の引く犬より大きな犬が来て犬と一緒に固唾をのみぬ
金木犀うすくフェンスにふれながらいつかはいつかのままに遠くて
百貨店屋上にある「楽園」の錆は銀河の水の滴り
父の忌の読経終はれば故里の訛りとなりて僧のくつろぐ
故郷のたべものばかりを恋うている正しくお腹を空かせた後は
メールにも筆跡がある祖母からのメールはまるで柿の絵てがみ
携帯電話ぱきんとたたみそのやうに心をたたむ秋の街角
たつぷりと遊びつくしたあとに来る小筆のやうなさびしさがある
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