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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
もう二度と行くことのない秘密基地こころにひとつ抱えて眠る
鈍器もて人打つごとき音をたて自動販売機のジュース落つ
黴くさき書をめくりゆくわが指の間近くありてふれぬひとの指
つまさき立ちのエノキ無音に叫びをり「わが従順を侮るなかれ」
窓のそとに木や空や屋根のほんとうにあることがふと恐ろしくなる
美しき球の透視をゆめむべくあぢさゐの花あまた咲きたり
さし迫るやうに沸き立つ湯の底にことりことりと触れ合ふたまご
人魚姫と王子が出逢うその脇でわかめになってそよぐわたくし
円満の秘訣は一割言はぬこと 南瓜の種を匙で抉りぬ
下の子をほめれば上は寂しさうきやうだいは皆カインとアベル
一週間お疲れ様のご褒美に一人で過ごすスターバックス
ユトリロの白き鬱もて立てる樹々白樺冷えて湖にゆらぎつ
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