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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
都築 直子
上海は雨けふも雨、午後四時の気象通報おもひだしてる
眼鏡橋の眼鏡の中から眺むれば柳一本風にゆらるる風にゆらるる
10月31日休載します
新しき瞬間がありネオンサイン必ず消えてまた灯るとき
眼鏡屋は夕ぐれのため千枚のレンズをみがく(わたしはここだ)
箸かろく蕎麦つまみ上げ先をふと撫づるがごとく即すすりたり
眼も魔羅も老いさらばえよわがものにはやもはやなりてしまえよ
切除されし妻の乳房は黒々と小さくなりて盤に置かれつ
紙ひとえ思いひとえにゆきちがいたり 矢車のめぐる からから
すこしづつ息のはやさがずれてゐて合はさつた手のおもさかんじる
〈様式〉のまにまに花を描きいそぐガッシュの赤がすこし足らぬに
ただの日となりてかろうじて晴れている十月十日ジョギングをせり
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