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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
都築 直子
潮あかり顫へてとどく岩に寝て燕の誇りをわが誇りとす
堀りすすむ間道いくつも井戸をすぎずぶぬれの身をよこたえるまで
きいんとひきしまつた空へしたたらすしづくは硝酸でなければならぬ
枡の目に合はせてわれは踏み行くと足のずれきて跳ばねばならぬ
首とわかるまで網棚をころがりてゆくむこうまでゆく
目隠しをされたらきっと折り鶴の額のかたちを忘れてしまう
新しき黒もて黒を塗りつぶす分厚くわれの壁となるまで
窓の下を花輪はこびて行きにけり雨となりたる五分ほど前
年下の若きからだをおもうときわが指先は草汁に触る
白藤の花にむらがる蜂の音あゆみさかりてその音はなし
濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ
水に浮くこの全身がわたくしのすべてであれば重たし水は
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