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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
何にすといふならねども輪ゴム一つ寂しき夜の畳に拾ふ
夕闇にわずか遅れて灯りゆくひとつひとつが窓であること
つるつるに頭を剃っておりますが僧の中身は誰も知らない
ふるさとの土蔵の壁にかの日より立てかけられてある捕虫網
深き空ゆ吐息のごともおり来たる風ありて枇杷の葉むらをわかつ
沈黙は金か、金なら根刮(ねこそ)ぎに略奪されしピサロの金か
わが指の頂にきて金花虫(たまむし)のけはひはやがて羽根ひらきたり
寝そべりて恋の歌読む古き代(よ)のたはごとなれば美しき歌
東洋人ひとりだけなる会議にてしやべらねば塑像とまちがはれさう
トンネルの奥処に次の駅見えてあるいは全(また)きひかりの発芽
果樹園のなかに明日あり木柵に胸いたきまで押しつけて画く
われよりもしずかに眠るその胸にテニスボールをころがしてみる
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