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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
野の雨に揺れたつ朴のくらぐらと一つの花が大きくありし
或いは危ふからずや鯉が上下(うへした)に擦れ違ふときの感覚なども
文明開化に置いてけぼりを喰ふほか無し一点一画文字書くやうでは
かかかんと指で茶筒を鳴らしおり泣きたい俺はどこにいるのか
椅子に居て我れは未来を待つならず寄りも来ぬべきいにしへを待つ
昔語りぽおんと楽し大きなる女が夫を負うて働く
日が歩(あゆ)むかの弓形(ゆみなり)のあを空(ぞら)の青ひとすぢのみちのさびしさ
陰(ほと)に麦尻に豆なる日本の神話の五月るるんぷいぷい
夕闇に消えかかる手はほてりつつ水溜りよりつばめをひろふ
パパイアの種子を刮(こそ)いでいた指を口中に入れ雨を感じる
残酷な包みをあけた日があつた 花水木、風に白をかかげて
にっぽんはうつくしい国あらかじめうしなわれたるうつくしい国
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