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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
孵卵器の卵くるしげに歪むころ不潔な神話世に流布しだす
どのやうな手もやはらかにしてくれるクリームください焚火の色の
水面にかへる刹那の水しぶき激しく消えしものを見たりき
星あかりのわずかに届く闇を来てものやわらかな音楽ひとつ
意志表示せまり声なきこえを背にただ掌のなかにマッチ擦るのみ
ひとりぼろタクシーのなかで、へし折れたやうな街の後ずさるのを感じた
光透く翅をひろげし夜の蛾が我が臥す上を過ぎしときのま
前の前をゆくひとがさしているものの架空の植物の柄の傘
暖冬の室内にて孵す紋白蝶複製モネをこえ曇りガラスに
南風モウパツサンがをみな子のふくら脛吹くよき愁ひ吹く
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