2019年05月のアーカイブ

沖ななも/熟れすぎの桃の匂いののぼりたち捏ねあわされて昭和はあるも

睦月都/猫をわが全存在でつつみ抱くともだちになつてくれたら魚をあげる

有沢螢/春三度(みたび)われに巡り来 動かざる手足やさしく撫づるごとくに

澤村斉美/鳥は影を、水に映れるみづからをなにと思ふらむ「少し陰つた水」

春日いづみ/手鎖の刑を受けしか今朝の夢弓手の手首に痺れ残れり

山川藍/ねこたちが居間でうろうろアドベンチャー ピアノに乗ってさらに欄間へ

槇弥生子/吐きし血の500㏄の行方などふと気になればずつと気になる

山川藍/販売員であった過去がためらいもなく紙袋を底までひらく

森岡貞香/今夜とて神田川渡りて橋の下は流れてをると氣付きて過ぎぬ

山川藍/「天国に行くよ」と兄が猫に言う 無職は本当に黙ってて

鈴木英子/髙瀬さんも眼鏡、市原さんも眼鏡 もういないひとのやさしい眼鏡

上條素山/さやさやと生存圏を拡げつつ浮かぶや宙に愛のピカチュウ

髙瀬一誌/体(からだ)がこわれたという こわれたあとのつくり方あり

上條素山/さやさやと生存圏を拡げつつ浮かぶや宙に愛のピカチュウ

うにがわえりも/ルマンドの中を覗けばはつなつの海のうねりが目の前にくる

加藤治郎/ねばねばのバンドエイドをはがしたらしわしわのゆび じょうゆうさあん

榛葉純/三次元、峠なゆたはまだいない 父娘(おやこ)ふたりでプリンを食らう

加藤治郎/にぎやかに釜飯の鶏ゑゑゑゑゑゑゑゑゑひどい戦争だった

市原克敏/わがゆびの影をいぶかる蜘蛛といる蜘蛛に流れる時間の外で

小池光/耳の垢ほりて金魚に食はせ居りいつとはなしに五月となりぬ

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