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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
黒瀬 珂瀾
夜のプール塩素の臭いに囊(つつ)まれてまず魂が腐りはじめる
コピー機の足りない色に紫陽花はかすんでここに海があったの?
聾児らの劇「幸福」はいま終へて静かなる拍手ながくながくつづく
仕事終へ白布かければ計器類にはかに支配者のかたちをくづす
唇にはりつく桜花まがなしく紙片一枚の関わりにいる
透明になる過程が見たい紙一重というところが見たい
胸の傷かくして立てばさびさびと砂地に雨の降りたまりゐる
菜の花にからし和えればしみじみと本音を聞きたい飛雄馬の姉さん
冷めてなほ唇(くち)に張りつく乳の膜おのがことばにおのれ欺き
ガラス一枚へだてて逢えばひとはたれもゆきずりの人となりてなつかし
雨の日のさくらはうすき花びらを傘に置き地に置き記憶にも置く
ほらあれさ何て言ふのか晴朗なあれだよパイナップルの彼方の
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