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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
生まれる子生まれない子とひしめいて保温ポットの中のきらきら
いましづかに夕日がしづむ鳥よりも風よりもとほき旅をしてきて
後ろから抱きしめるとき
数一〇〇〇
かずいっせん
の君のまわりの鳥が飛び立つ
ひねもすを 曾孫にをしへ余念なし。火遁 水遁 壁ぬけの術
しくじりし会議を終へて乗る電車うしろ五両は忘れてください
日の字型の庁舎の廊を持ちまわる未決裁文書の重きゆうぐれ
人閒が一枚一枚おりて來るそんな氣がして大雪となる
お軽、小春、お初、お半と呼んでみる ちひさいちひさい顔の白梅
波止場には大き魚の
頭
ず
残されてその目見ており二月の空を
二人して味噌ラーメンの丼に摑まりながら夜の淵にをり
如月
きさらぎ
の崖の水仙摘みつくし農婦ひとりのただならぬとき
車椅子を漕ぎゆくわれの影ふいに立ち上がりたり朝日の壁に
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