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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
我の引く犬より大きな犬が来て犬と一緒に固唾をのみぬ
安っぽき照明の下打ち解けてスープきらめくうどん啜れり
金木犀うすくフェンスにふれながらいつかはいつかのままに遠くて
遠く來しもみぢの山にみづからの修羅見てめぐる 旅とはなに
百貨店屋上にある「楽園」の錆は銀河の水の滴り
わたくしのからだの影として思ふいつも遠くにひかる杉やま
父の忌の読経終はれば故里の訛りとなりて僧のくつろぐ
救われることもすくうこともなく葡萄畑の上の三日月
故郷のたべものばかりを恋うている正しくお腹を空かせた後は
〈めぼ賣ります〉と貼られし紙の邑過ぎて眩暈のごと國原ありき
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