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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
髭を剃りて父はかすかに笑いおり 八月 ドライアイスの棺
生まれたる村が町となり市となれど住む人のなく故里は消ゆ
夏山に入道雲の湧き出づる白き泉がありしとぞきく
ただひとつのはるかな鍾乳洞にむかって十代のわたしたちの睫毛は
亀よ まだ生きているのか校庭の池はあるのか桜は降るか
ひんやりと四角い蒟蒻ひきちぎる私のすべては繫がったまま
鞄から出したニベアをすくう指先 晴れてきた空が大きい
髪洗うこれからときどき降ってわく不幸について考えながら
《睡蓮》に近づきてまた離れつつ水面にわが影の映らず
待つひとは束のごとしよ踊り場にわれをたしかめ解かれている
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