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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
土井礼一郎
だんらんのはてに沈黙のあるごとく 夜を森閑と咲きつぐ櫻
雨期の地に呪詛の掌のごと揺れてゐる羊歯ありくらく永き平和よ
ガザ地区と足立区響き似ていると
吾子
あこ
が言いけり空爆怖い
あまたある神の御腕の一本に君がいて林檎を我が唇におく
あと五十年は生きてくぼくのため赤で横断歩道をわたる
三角定規で平行の線を引くときの力加減で本音を話す
この国などどうでもよいが首ばかり丹念に洗う湯屋にて洗う
生き物をひかりのなかに置くことがさびしいのです電子オルガン
よぎる顔の定かならざる日暮れには数式のごとく会えぬ君あり
簡単に土下座できるといふ君の鶏冠のごとき髪を撫でたし
指しゃぶりやめない吾子のつむじからふっくら土と雨と春の香
キリストに臍あることのかなしみにつながっている夜の水道
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