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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
灰色の空に黙(もだ)せるNIKORAIの黒き円屋根(まろやね)われも黙せる
高層ビルに浅丘ルリ子のくちびるの半ば開いて雨ふりそそぐ
ホ-ムラン打たれてがくりとつく膝の膝はやむなく意志に負けしか
かつて祖父は資産運用に敗れたり古き通帳に雨の匂いぬ
だらだらとのぼれば坂は美しい「武道館」とふ筆蹟(て)が見えてきて
おほははのなづきにしろき花ふれりことのはなべて喪はしめて
雨に濡れ夜より深き色となるスーツを干せばリビングの闇
あたらしき連れあひに媚ぶるマレー熊の映像見てをり愉快にとほく
枇杷の花ひつそりと咲く停留所に待ちつつバスは死んだと思ふ
然(さ)ういへば今年はぶだう食はなんだくだものを食ふひまはなかつた
烏帽子岩あさひに光るここを過ぎわれの呼吸のふかく乱れむ
さよならのこだまが消えてしまうころあなたのなかを落ちる海鳥
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