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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
ふかく空がたわむ夕ぐれ窓あけて見ておりだれを呼びだすでなく
夏の窓 磨いてゆけばゆくほどにあなたが閉じた世界があった
切り返しいくたびもして出てゆける車のやうな生を尊ぶ
屈辱を沼にしづめて舟をだすほそい水路の闇を濡らして
くもりなき硝子の向こう雨が樹に樹が雨となるまでを見ており
唐突に空中へ出てとまどへる水あり瀧と呼ばれるまでの
子の耳より抜きしイヤホン若き日にわが愛したる曲ながれゐる
ブラウスを着ればブラウスの形にて私は座る職場の椅子に
見上げればひこうき雲とヤシの木と次の車検を知らせるシール
婚姻のふたりにそそぐしろき米ライスシャワーは淀にて死にき
蓋つきの湯呑みでお茶を出されたりわれにではなくわれの会社に
スランプの僕の脳みそ唄うのはキリンレモンのリフレイン
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