2017年01月のアーカイブ

みづからを家の深くに進めゆく音せりよるの老い母の杖

利己的な点すこしある友人の話題が靴下ストッキング のことに戻る

ペンギンに踏まれる感触の夢さめて満ちくるごとく身に力あり

つま先に灯を点すような恋だった 靴下を履くことを覚えた

鍋の火を消してふりむく裏口の暗さの向こう燃えている空

君の弱みのごとく見ている靴下の裏側すこし汚れいたれば

マンションより月夜に箱を運び出す男に淡き尻尾がありぬ

少しやさしくされると少し気になってしまう単純 靴下を脱ぐ

淡雪にいたくしづもるわが家近く御所といふふかきふかき闇あり

なんでなんで君を見てると靴下を脱ぎたくなって困る 脱ぐね

等伯の松林図けふ観にゆかむ朝のとこにきたる雨音

第三次世界大戦終戦後懇親会に出席します 御欠席

動かねばおのづからなる濃き影の落ちてをるなり池の鮒の影

赤紙をもらった人だけが見れるめちゃくちゃおもしろい踊りだよ

独楽は今軸かたむけてまはりをり逆らひてこそ父であること

おそらくは電子メールで来るだろう二〇一〇年春の赤紙

地の上は暮れゆくばかり振りむけば出で来し穴に光の増しぬ

春の夜の夢ばかりなる枕頭にあっあかねさす召集令狀

ひなたより入り来し赤いセーターの少女つかのま陽のにおいせり

注文をするとき笑みているわれを肉屋の鏡のなかに見出でつ

いや赤き火鉢の火かもふつふつにもゆる怒りを抑へつつ見る

指さしてケーキ買ひゐる夫を見つ通り雨降る駅のおもてに

初詣帰りの道に野の草のハーブ引き抜き妻は手に持つ      

シクラメン選りいる妻をデパートに見て年の瀬の街にまぎるる

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